2015年10月9日 金融・経済 タグ: TPP, そもそも総研, 減反, 農業
そもそも関税がなくなったらコメは本当に壊滅するのだろうか?/そもそも総研
2015年10月8日に放送された、そもそも総研「そもそも関税がなくなったらコメは本当に壊滅するのだろうか?」を紹介します。
(所要時間:約26分)
動画の内容
▶ もし関税が撤廃されたら「日本のコメ」に勝機はあるのか?
今週月曜(※2015年10月5日)、大筋で合意となったTPP(環太平洋経済連携協定)で「約7.8万tの輸入枠追加」となった「コメ」。TPPが当初目指していたのは「関税撤廃」だったのですが、結果的に関税は維持され、輸入枠の追加でまとまりました。
しかし今後もしも関税が撤廃された場合、日本のコメはどうなるのでしょうか?
気がかりなのは「円の価値」です。「円安」になれば「日本製品の輸出がしやすくなって、国際競争力が高まるのでは?」と考えた玉川徹さんは、「コメ輸出のパイオニア」と呼ばれる「新潟玉木農園」の代表、玉木修さんにお話を伺いました。
玉木さんの農園では2005年からコメ輸出に取り組んでいます。スタッフ1人あたり「およそ10ha」という広大な耕作面積(平均のおよそ11倍)を担当し、今年は「200tのコメをシンガポールや香港などに輸出する予定」だそうです。
「為替の問題や日本食の需要拡大によって、輸出環境は5~6年前よりはるかに向上している」と玉木さんは語ります。
じつは日本のコメは「中国人観光客のお土産品」としても人気なのだそうです。とはいえ、観光客が直に持ち帰ることは法律違反となるため、「自社契約を結ぶか、商社を通して相手国に届ける」という方法がとられます。
元・農林水産官僚の山下一仁さんは「現在は国内の米価が下がってカリフォルニア米の価格が上がり、輸出に適した環境になっている」と語っており、「コメ輸出」には追い風が吹いているようです。
▶ 日本のコメに「世界で勝ち抜く力」をつける方法とは?
では、「日本のコメに国際競争力をつける」にはどうしたらいいのでしょうか?
玉木さんは「生産量を増やすことによって作業のコストダウンを図ると同時に、大規模化によって生産効率を上げるべき」と語ります。
山下さんは「現在行っている“減反”をやめるべき」と指摘します。
現在は農家に4000億円の補助金を出してコメの生産を抑えてもらっているのですが、それによって米価が上がり、消費者に6000億円ほどの負担を強いているというのです。
「減反をやめれば、生産量が増えることで米価が下がり、消費者負担がなくなる。コメ専業農家の受けるダメージは個別所得保障(推定2000億円)で解決すればいい。これだけで国民負担は現在より8000億円も軽減できる」と山下さんは語ります。
山下さんの提案には「減反廃止に不可欠な休耕地の土地改良に膨大な費用がかかるため、個別所得保障の財源が確保できない」という反対意見もありますが、玉川さんの感想は「減反をやめて競争力をつければ、関税撤廃しても戦えるコメ作りができるのでは」というものでした。
引用元:そもそも総研