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いま日本の国がガレキ問題でやろうとしていることは「徹底的に」間違えています/小出裕章(こいでひろあき)助教

2012年09月02日にYouTubeで公開された、小出裕章(こいでひろあき)助教のインタビュー動画「北九州市で震災ガレキ焼却をすべきでない理由」を紹介します。

(所要時間:約4分)

動画の内容 (全文書き起こし)

京都大学原子炉実験所の小出と申します。

私は原子炉実験所の中で放射能に汚れたゴミの管理にあたっている人間です。その私から見ると、放射能に向き合うときの原則というものがあります。それは、放射能は発生した現場、今ある現場でできるかぎりコンパクトにして、そこで専用に閉じ込める。一般のゴミと混ぜてはいけないし、産業廃棄物とも混ぜてはいけない。放射能のゴミとして専用に管理するというのが原則です。

その私の原則から言えば、いま日本の国ががれき問題でやろうとしていることは徹底的に間違えています。

全国にばらまいてしまうということ自身がまず間違えているし、そこで出てきた焼却灰をそれぞれの自治体に任せてそこで埋めろなんていうことは、まったくありえないことを国がやろうとしています。それを受け入れる自治体があるということ自身が私には不思議ですし、そんなことは決して認めてはいけないと私は思います。

ただし、いま現在たいへん困難な状況が福島を中心にしてあります。がれきが放置されているかぎりは福島の子どもたちも被ばくをしてしまっているわけで、それを何とかしなければいけないという課題は残っています。それに対して、いま現在の国のやり方が正しくないということは私は何百回でも言いたいと思いますけれども。ではがれき問題をどうするのかと。自分のところに来なければいいのかという、それだけで考えてほしくないと私はそうも思います。それぞれの地域の方々たいへんだろうとは思いますけれども、十分に考えていただきたいと思います。

以上です。

(質問「正式にやるんであれば、どういう形だったら可能か?」)

本当はやってはいけません。

(質問「焼却をやってはいけないということ?」)

焼却は私はやっていいとは思いますが、焼却はそれぞれの現地に専用の焼却施設を作ってそこで焼く。そして出てきた焼却灰は専用の施設で保管をするということが原則です。ですからそれを本当は国がやらなければいけないのですが、国がまったくやらないという、まあデタラメな国なんですね。その中で子どもを守るために、私たちに何ができるかということを私も考えているわけです。

そして仮にどこかの、全国というか北九州もそうですけども、そこで引き受けるというのであれば、二つのことは必ずやらなければいけません。
一つは、現有の焼却施設というのは、放射性物質を閉じ込めるということに何の考慮も払われていない施設ですので、そこで焼いてはいけませんので、放射性物質を取り扱う前に、ちゃんと放射性物質を捕捉できるようなフィルターなどを取り付けてからでなければやってはいけない、というのがまず第一です。

そして第二には、出てきた焼却灰というものは、もともとは東京電力の所有物が汚染しているものなわけですから、焼却灰は東京電力に返す。自分のところで始末をするなんてことではなくて、東京電力に返すという筋道をつけて初めてやっていいということだと思います。

住民の方々も単に自分のところに汚染が来ないでほしいというそれだけではなくて、福島を中心とした汚染地の子どもたちを守るために、もし引き受けるのであれば、その二つの条件を必ず守らせるという、そういう運動の組み立て方をしてほしいと思います。もしそれが実現できるのであれば、自分たちの子どもたちも守れますし、汚染地の子どもたちの被ばくも減らすことができると考えていただきたいと思います。

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