2014年4月3日 国際・紛争 タグ: テレメンタリー, 原発問題
原発事故で自衛隊が命がけの任務に駆り立てられていった本当の理由/テレメンタリー2013「自衛隊ヘリ放水の謎 ~日米同盟最大の危機~」
2013年5月28日に放送された、テレメンタリー2013「自衛隊ヘリ放水の謎 ~日米同盟最大の危機~」を紹介します。
(所要時間:約25分)
動画の内容
福島第一原発事故での自衛隊のミッションは、ヘリコプターで放水し使用済み核燃料プールを冷やすこと。命がけの任務だったが作戦は失敗。アメリカからも厳しい批判を浴びた。自衛隊は原子力に対する知見を米軍ほど持っておらず、放射能防護においても準備不足だった。この一連の問題は日米同盟最大の危機を誘発した。
自衛隊が命がけの任務に駆り立てられていった本当の理由とは…。
福島第一原発事故が起きた時、NRCとの電話会議の議事録は3000ページにも及んだ。議事録には、情報の量やレベルが少なすぎるといった苛立ちの声も記録されていた。事故の翌日にはメルトダウンと断定していたアメリカの危機感は日本以上だったといわれている。
日本には多くの在日米軍とその家族もいた。アメリカ国防総省を取材したところ、福島第一原発事故当時に米軍トップの統合参謀本部課長だったマイケル・マレン氏は、多くの軍人が放射能にさらされる危険があったと語った。アメリカの対応は迅速で、NRCは3月12日には2人の職員を日本に派遣した。
3月12日、日本では福島原発一号機が水素爆発を起こしていた。NRCから最初に派遣されたトニー・アルセス氏は、協力すると伝えていたが日本からの協力要請は一度もなかったという。原子力安全基盤機構JNESからNRCに送られたメールには「既に我が国の専門家に十分な援助をもらっているので、もし必要になったらこちらから連絡する」と書かれていた。国務省のケビン・メア氏は、日本側は最初、アメリカに対し傲慢な態度だったと語った。
アメリカは1979年スリーマイル島原発事故以来、新しい原発を作ってこなかった。そのため福島第一原発事故に乗じて情報収集しているのではないかという疑惑もささやかれていたという。福山哲郎 官房副長官(当時)は、ルース駐日大使から情報を隠している懸念があると言われたと話した。
3月14日、福島原発は3号機でも爆発が起きた。国務省 ケビン・メア氏は、NRCの専門家は日本の意思決定の近くにいないと情報もないし役に立たないと考えていたが、日本は官邸常駐を認めなかったという。これについて菅直人氏は、「総理の意思決定そのものの時にすべて同席するのはどうかというのが官房長官の考えだった」と話す。この問題はアメリカの職員が官邸内の連絡室で情報を共有することで決着するが、アメリカの不信感が消えたわけではなかった。北澤元防衛大臣の日記には、当時の混乱の様子やルース大使の苛立っている様子が記されていた。
日本政府は福島第一原発事故が起きた当初、事故は当事者である東電が解決すべきと捉えていた。菅直人氏は、本来は原発のオペレーションにまで総理が携わらない、外国からの要請を東電につなぐしかないと主張。国務省 ケビン・メア氏は当時の管政権が、原発事故を日本政府の問題ではないように対応していたと指摘した。
3月15日、菅直人は東電に乗り込み声を荒らげた。細野豪志氏は、「このまま大変なことになったら外国が乗り込んでくるぞ」という言葉が印象的だったと話した。
福島第一原発事故後、NRCは最悪の事態を見据えていた。国務省は連日、駐米日本大使との面会を求めた。そしてある会談でアメリカは「英雄的犠牲」という言葉を使ったという。隣の部屋にいたというケビン・メア氏は、「英雄的犠牲が必要かもしれない、危険があっても政府として対処する必要がある」という会話が聞こえたと語る。防衛省・北澤氏もその声は届いていたと話した。また英雄的犠牲の要請は米軍から自衛隊のルートでも届けられていた。
福島第一原発事故後の3月16日、アメリカはNRCの独自情報に基づいて避難勧告を出した。細野豪志氏は当時のルース大使の表情が忘れられないと語る。また同盟国として何らかの疑念を持っていたことは間違いないと話した。
福島第一原発事故を受けて、アメリカは在日米軍の撤退をほのめかした。国務省 ケビン・メア氏は、日本が政府として対応しないと在日米軍も含めて避難する必要があるかもしれないと大使に伝えたという。これに日本は抵抗を示し、日米同盟において政治的な問題になると回答。ケビン氏は政治の話ではない、日本の生き残りの問題と返事をしたという。
3月16日には4号機でも2度目の火災が発生。一刻も早い水の注入が検討されていたが、誰が水を入れるのかが問題だった。アメリカからの自衛隊に対する強い期待で、菅直人氏はついに防衛省にヘリ放水を要請。日本の運命を自衛隊に託すことを決断した。自衛隊には原発事故収束に関する装備もノウハウもなかったが、誰も辞退する者はいなかったという。そして3月17日にヘリコプターから放水。しかし結果は線量が若干下がったのみ。NRCは「ヘリ放水なんてありえない」とシビアな見解を持っていた。
引用元:TVトピック検索





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