@動画 > 仕事・生活 > 何の手引きも無く、これまで成し遂げた先人もいないような世界をゆるがす革新は「どのように」すれば生み出せるのか?/デビッド・ローガン

何の手引きも無く、これまで成し遂げた先人もいないような世界をゆるがす革新は「どのように」すれば生み出せるのか?/デビッド・ローガン

経営学の教授であるデビッド・ローガン氏が、人間が自然と形成する5種類の集団について解説。私達が属しているそれぞれの集団の傾向を理解することで、よりよい個人へとお互いを導く一助となると主張しています。

(所要時間:約17分)

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動画の内容 (全内容の書き起こし)

ここでお話するのは「どのように」についてです 実際どのようにすれば 世界をゆるがす革新は生みだせるのでしょうか 短いエピソードを紹介します 一年と少し前のことです 実はこの日ですが 誰か この特別な日の出来事を 覚えている方はいませんか? 2008年の2月3日です どなたか、覚えていませんか? 2008年2月3日ですよ スーパーボウルです そちらから聞こえました そうスーパーボウルの日でした

その日が非常に重要だった理由はこうです 同僚のジョン・キングと ヘイリー・フィッシャー・ライトと私が 多様なスーパーボウル・パーティーの様子を 調査したところ アメリカ中で 諸集団の理事会が 行われたようなものだと気づきました まさに国民的に重要なことを話していました 「今年のバドワイザーのCMはどうか」 「ナッチョの味はどうだ」「どちらが勝つか」などです でも「どの候補者が良いか」なんていう 話もしていたのです

2月3日の時点では ヒラリー・クリントンが民主党から 大統領候補に指名される見込みでした 最終的に大統領になるという調査結果もありました でも私たちが聞いた話では アメリカ中の集団で 候補者の絞り込みも進んだようでした では 集団とは何でしょう 集団はチームと呼ぶよりは大きく 20人から150人ほどの集まりです このような集団内で いろいろな仕事が行われています 仕事にとどまらず 集団内に社会が形成され 大切なことが起こるのです

そこで私たちは スーパーボウル・パーティの 主催者たちを諸集団の代表者とみなし アンケートを取りました 結果を40紙の編集部にメールしました 2月4日 予備選挙の始まる前に 私達のウェブサイトにも載せました 「私たちが調査した 集団の見解ではオバマが当選する」 さて なぜ分かったかというと それまでの10年間 集団 ―なかでも自然に形成される集団を 研究してきたからです

誰もが 集団の一員です 講演の合間に 歩き回った皆さんは 自分の仲間に会って 言葉を交わしたことでしょう リーダーとして望ましい行動をしていた方も 大勢いました 自分の集団のメンバーと 他の集団のメンバーを引き合わせていました 集団の良いリーダーはそうするものですね

さてここからがポイントです 例えばこんな集団を考えましょう USCのフットボールの試合です スーパーサテライトカメラで 一人ひとりを見ることができるよう拡大すると 実はひとつの大きな集団ではなく 小さな集団の集まりであるのが わかります この会場でもそうですね でも離れて見ると 単一の集団に見えるのです このように 人は集団を形成します いつもそうしてきました 今後も変わらないでしょう 魚が泳ぎ 鳥が飛ぶのと同じく 人々は 集団を形成するようにできているのです さて 困ったことに 全ての集団が同じわけではありません 文化によって異なります

ここから導かれる結果として 誰もが 集団に属しています 自分の属する集団に働きかけて 集団の段階を進めて行けるでしょうか ここではステージを5つに分け 最高位をステージ5と名付けました まずはステージ1と呼ばれるところから始めましょう 一番下のステージです こんなのは望んでないですね スクリーンに映すのもはばかられる画像ですが ここから学ぶ必要があります

ステージ1のメンバーは (人生は最悪) ひどいことをします (人生は最悪) バージニア工大の乱射犯です ステージ1のグループは 機能する集団から 組織的に人を切り離し 似たような考えの人ばかりを集めます ステージ1はまさに非行集団の文化で 監獄の文化です ステージ1に関わることはめったにないでしょう ただ社会の一員としては ステージ1にも関わらなければならないと指摘しておきます 人を見捨てては いけないのです

先に進みましょう お気づきになるでしょうが 言うなれば ステージ1は「人生は最悪だ」というものです 「パフォーマンスの3つの法則」という 出版されたばかりの本で 同僚のスティーブ・ザフロンと私はこう論じました 「人は、自分が見ている世界の通りに行動する」 人生は最悪という見方をしていれば 無意識のうちにそういう振る舞いをするようになります 絶望的な敵意をむき出し 生き残るためには他人を攻撃することもいとわないのです

ところで 私の誕生日が近づいており 運転免許が切れます この話とどう関係があるかというと 近いうちにステージ2と呼ばれる集団に出くわすことになります (自分の人生は最悪) (笑) 全国の運転免許センターのどこでも ステージ2の文化が見られる と言うわけではありません 違います でも家の近くのセンターに数日後に行くと 順番待ちの列でこう毒づいてしまうでしょう 「こんなにばかな奴らが生きてるなんて」 (笑)

ここで働いている人の頭が悪いと言っているのではありません 人がバカになるような文化を問題にしています ステージ2の文化は あらゆる場所で見られます 世界で最も優れた組織にも見られます 社会のいたるところで見られます その階級で最高だと 誰もが絶賛する組織でも見つかります ここがポイントです もしあなたの考えを こんな風に仲間に向かって口にするとどうなるか 「私の人生は最悪だ TEDxUSCに行くチャンスがあればましだけど でも行けないから ああ最悪」 こんなことを言っていたら 何を成し遂げられるというのでしょう どんな種類の革新を? 世界を変える行動は少しでも起きるでしょうか? 実質ゼロでしょう

では ステージ3に移りましょう 皆さんの多くはこれに近いことでしょう 多くの人はステージ3に入ってくると 車を止め ここに滞在します ステージ3は「自分は最高 周りは違うけど」というものです (笑) 自分は最高 周りは違うけど 想像してください 「自分は最高 みんなは違うけど」とか 「みんなと競争して 一番になるんだ」 と言っている人だらけの部屋を そんなふうにコミュニケーションや話をする人ばかりの グループです

「3人の医師がバーに行って」と言うと ジョークみたいですが 3人の医者がエレベータに乗ってきました 私は本のためにデータを収集中で たまたま居合せました 一人が言います「ニュー・イングランド・ ジャーナルオブ・メディスン誌に論文が出ましてね」 一人が言います「ニュー・イングランド・ ジャーナルオブ・メディスン誌に論文が出ましてね」 一人が答えます 「知りませんでした 立派ですね おめでとう」

もう一人の医者は 苦笑いを浮かべて言いました 「あなたが研究にいそしまれている間に」 見下す口調でしたね 「研究にいそしまれている間に たくさん手術ができました うちの外科で一番しましたね」

すると 3人目の医者は 同じく苦笑いを浮かべて言ったのです 「あなたは研究でお忙しく あなたは応急処置の手術でお忙しい 手術なんてのはいずれはヒトの仕事じゃなくなるでしょう そもそも要らなくなるかもしれない 私は研修医プログラムを運営してましたが これこそ医学の将来ですね」

笑顔を浮かべてほめ合いながら ちょうど開いたエレベータから降りて行きました これがステージ3の集団の会合です こういう話は 頭が切れて 成功している人々が集まるところで見られます 例えばTEDxUSCみたいな所で (笑)

この次が 革新の場で直面する最大の難関です ステージ3から ステージ4へと移るところです 短いビデオを見てください ラスベガス郊外にあるザッポスという会社です 質問ですが 「あなたは 彼らが何に価値を置いていると思いますか?」 クリスマスシーズンではないのに クリスマスツリーがあります ロビーでは 従業員が アドバイスブースでボランティア活動をしています 『ピーナッツ』の漫画に出てくるブースですね

玄関ホールを抜けて入ってきたのは― コールセンターです なんというデコレーション 我々は拍手で迎えられました 誰だか知らなくても気にもしません 気にしてたら拍手しないでしょう 盛り上がり方も見てください オフイスをどう飾っていたでしょう ザッポスの人にとって重要なことは 皆さんが重要なこととは違うかもしれません 楽しむことや創造性は大事にされます 「少し変わっていること」も挙げられています 少し変わった会社だと思いませんか

一人ひとりが寄り集まって 互いを結びつける何かを見出したとき 一人ひとりの能力を超えた力となり 重要な何かが起こるのです グループは融けあいます とても意欲的ではあっても 極めて自己中心な人の集まりだったものが より大きな存在― 自らの存在を自覚している集団へと変化します ステージ4の集団は優れたことができます でもまだ最上位ではないのです さらにもう一つのステージ

ここがどこか わからない方もいるでしょう ステージ5 のキャッチフレーズは 「人生は最高だ」です 少し矛盾して見えるかもしれませんが この写真は 南アフリカの真実和解委員会です この功績で デズモンド・ツツ氏はノーベル賞を受賞しました 考えてみてください 南アフリカといえば ひどい残虐行為があった社会です 人々は集まって 2つの価値だけを考えました 真実と和解です 手引きもなければ これまでこのようなことを成し遂げた先人もいません

唯一の道しるべが 人々の価値観と崇高な大義だけという この状況で この集団は歴史的な成果を上げました 当時 人々は南アフリカがルワンダと同じ末路をたどることを恐れていました 絶え間ない戦闘の続く 終わりの見えない内乱です でも 南アフリカは違いました デズモンド・ツツのような人たちが ステージ5のプロセスを作り上げたのが大きな理由です 誰もが関わるように 何千 いや 何百万もの集団を 巻き込みました 聞いていただいたここまでの話から 得られる結論です 我々の研究結果も同様です

私はステージ1について話したくはありません 「人生は最悪」 こんなのいやです 近所の免許センターの話し方も ごめんです 「自分だけが最高」も良くないです 自己中心的で友達もできないでしょう 「私たちは最高」 いい感じです でもステージ5がいいですよね 「人生は最高」

実のところ 幾分しっくりこないことが 3つあります 1点目 アメリカ独立宣言をよく読んでみると 多くの人が気にする一節があります 基本的人権に関するところです ステージ5の権利ですね 人生は最高で 我々の価値観によって導かれる 他の基準はない とされます しかし実際は 文書の多くが ステージ2のレベルで書かれています 「キング・ジョージという暴君に敷かれて暮らしているから 私の人生は最悪だ 私達は最高 そうでないのは?英国だ!」 失礼 (笑)

他に誰か偉大なリーダーは?ガンジー? マーティン・ルーサー・キング? 彼らが「人生は最高だ」と人々に説いたのは 疑いないですね ささやかな幸せと喜びです でも マーティン・ルーサー・キングの 一番有名な言葉はステージ3でした 「我々には夢がある」ではなくて 「私には夢がある」ですね なぜそうしたのか なぜなら 大半の人は ステージ5にはいないからです

2%がステージ1 25%が 「私の人生は最悪だ」というステージ2 ワーキングクラス集団の48%が 被雇用者の集団で こう言います 「自分は最高 まわりは違うけど」 そして格闘する毎日 政治に期待したりします 集団の約22%が ステージ4です 自分たちの価値観に従います 「自分たちは最高 この価値のもとに団結できるのだ」 2% たった2%だけが ステージ5に辿りつけます そして彼らが世界を変えます

このことからわかることは リーダーは 社会の全ての人に接することができるように あらゆるレベルで語れなければならないことです そして 出会った人をそこに置き去りにしないでください 集団は 一つ上か下のレベルまでしか 理解することができません だからあらゆるレベルに対して そこに合わせて語りかける能力が要るのです そうすればリーダーは 人々を促して その集団が上のレベルに向かいます 例を話しましょう

フランク・ジョーダンという人とインタビューをしました 前サンフランシスコ市長です それ以前は サンフランシスコ市警察本部長でした 彼は元来ステージ1で育ちました 彼の人生を変えたのは何か ボーイズ・アンド・ガールズ・クラブです 彼の人生を変えたのは何か ボーイズ・アンド・ガールズ・クラブです そこでこんなことが起きて 後にはサンフランシスコの市長になったのです 「人生は最悪だ 敵ばかりだが 何をしてでも生き残ろう」 とステージ1で怒っていたところから ボーイズ・アンド・ガールズ・クラブに入り 腕を組んで椅子に座って 「ああ 私の人生は本当に最悪だ ろくなヤツがいない みんなみたいにボクシングに夢中だったらマシだったんだ 俺は最悪なままだ ここで座っていても何もする気はないぜ」

実際には進歩しています 新たな集団に入ることで 人はステージ1からステージ2へ移ります そして時を経てつながっていきます ではステージ3からステージ4への 移動はどうでしょう まさに今ここで起きていることです TED の認めるいくつかの価値 この価値を認めて繋がることで 本当に面白いことが始まっています

この経験をいつまでも残る貴重なものとしたいなら ぜひ今夜のレセプションで 普段する以上の思い切った ネットワーキングをしてください 新しい人に出会い 知り合いや影響を広げるだけでなく 今夜は あなたの知らない誰かを 別の知らない誰かに 紹介してみてください 三者の関係になるわけです

世界を変えるような集団を作る人の振る舞いです 自分の集団がさらに大きくなるように 自分と結び付けるだけでなく 集団相互の関係をつなぎます お互い知らないどうしを結びつけるなら もっと大きな何かにつなげましょう それぞれの集団の価値も増します

そして まだ先があります ステージ4はすばらしいですが ステージ4からステージ5へは どのように行けばよいでしょうか これをもって今日の話を終えましょう ギャラップ社の話です 世論調査をする会社ですね ステージ4です 私達はすばらしい 他は? 他の世論調査会社はそうでもないのです ギャラップと同じ日に エヌ・ビー・シーが調査結果を告知しても ギャラップの方が注目を集めます ご存じのとおりです だから 彼らは退屈しているのです ギャラップは世界を変えたかった そしてこんなことを聞かれます

「アジアの人の考えとか アメリカ人の意見とか オバマ対マケインを誰がどう思っているか といった調査ではなくて オバマ対マケインを誰がどう思っているか といった調査ではなくて 地球全体は何を考えているかという 調査はできないだろうか?」 地球全体は何を考えているかという 調査はできないだろうか?」 そうして史上初の世界世論調査の方法を考えました 経済学分野でのノーベル賞受賞者達を巻き込みました 暇を持て余していると言っていた人達が 突然 何枚もの紙を引っ張り出し 「どうやってサハラ砂漠以南のアフリカの人々を調査するか」を 考え始めました テクノロジーが利用できず 言語も異なり それを話せる人すら知らないという人たちへの調査 この重要な任務を果たすためには そんな調査ができなければいけません ちなみに 彼らは実際に成功しました 史上初の世界世論調査を実施しました

では 最後にまとめます まず第一に 私たちは皆 集団を形成します ここでも集団の中にいます あなたの集団の輪を広げてください さて 大事な問いはこれです あなたが属している集団は どういう種類の影響を与えていますか 次々と登場するプレゼンテーションは たいていは 所属するグループ・集団を代表して 世界をどう変えたかを語るものです 今日お話ししたように あなたが属する集団の人が どんなやりとりをするのか聞いて そこに留まらずから前へ進むように促します 5つの文化ステージを説明できるようにしてください 身の回りには あらゆるステージの人がいます 最後にみなさんに質問です 「あなたの集団は、世界を変えますか?」 ありがとうございました (拍手)

引用元:TED

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