「知識の探索」は我々の遺伝子に宿る「祖先からの贈り物」/エドワード・オズボーン・ウィルソン
世界的権威の生物学者、エドワード・オズボーン・ウィルソン博士が、若い科学者たちに向けて語ったアドバイスが秀逸です。
(所要時間:約15分)
動画の内容(全文書き起こし)
これからお話する内容は 今執筆中の本 「若き科学者への手紙」(仮称) から 拾ったものです 長年の教職と多くの分野の科学者を指導した経験が 皆さんのご参考になればと思います その中で培った原理もいくつかご紹介しましょう
まず強く申し上げたいのは ― 特に若い人たちに― 皆さんが選んだ路を辿り着ける果てまで歩んで欲しい 世界はあなた方を必要としています とっても 人類は科学技術時代の真っただ中にあります 逆戻りすることはあり得ません
分野により違いはあります 例えば 天体物理学 分子遺伝学 免疫学 微生物学 そして 共生体としての人体に関する新分野 公共衛生 環境科学 医学および科学全般の知識は 15~20年ごとに倍増しています 技術の進歩も同様です このふたつは相まって― 皆さんよくご存じのとおり― 人間の生活に広まっています
科学技術の発展は速く その紆余曲折は衝撃的で 10年後にどうなるのかすら 誰も予想できません
もちろん 1600年代から続く発見と知識の急速な発展は いずれ頂点に達し 勢いが衰えるでしょう しかし皆さんにとっては関係ありません 科学技術の発展は 少なくとも あと数十年は続きます 人間が置かれる状況はこれからも 急激に変わることでしょう 伝統的な学術分野は成長し続け その結果 必然的に融合しながら新しい分野を創造するでしょう
やがて全ての科学は 原理や法則をくまなく網羅する 連続的な知識となるでしょう 従って あなた方は一つの専門分野に特化せず 関連する あるいは一見何の関係もない分野の 知識を得るべきです
常に目を凝らし 頭を回すのです 知識の探索は我々の遺伝子に宿る 我々の祖先からの贈り物なのです 世界中に広がり 決して留まることを知りません これからも進化する文明の一部として 知的探究を理解し賢く利用するには 科学に明るい あなた方のような人がもっと多く必要です 教育 医薬 司法 外交 政府 ビジネス メディアなど さまざまな 分野においてです
我々の政治指導者は少なくとも ある程度の科学知識を持つべきです 今日もっとも欠けていることですが ― 拍手は無用ですよ 望ましくは 政治家は公職に付く前に予習すべきです 付いてからではなく この点は 科学者として 実験室でどれだけ没頭しようと 外で 教師としての役割を果たすことも重要です
さて ここで少し触れたいのは 科学者になる上で重要な資産あるいは障害に なりうるテーマです 数学に自信がない人は 心配無用です 今日 最も成功している科学者の多くは 数学的には半人前です
例えるなら 優秀な数学者 統計学者や理論家が 拡大していく科学領域の設計者だとすると いわゆる第一人者を含めた大多数の基礎や応用科学者は 地形を計測したり 未知の荒野に乗り出し 新しい道を切り開いたり 建物を建てたりするのです
無謀なことかも知れませんが 私は科学者の卵に会って話す時は 数学の心配はしないようにと伝えます ハーバードで 41年に渡り生物学を教えた間 残念にも 数学が苦手なために 優秀な学生が科学のキャリアを断念したり 必修科目でない講座は受講すらしないのを見てきました
彼らは失敗することが怖いのです 数学恐怖症のせいで 科学や医療が 必要としている人材が不足しています
不安を払しょくする方法は次のとおりです 数学は言語だと思いなさい 数学は話し言葉にあるような法則に従い 話し言葉のように特定の文法があります 平均的な数量的能力を持ち 初等レベルの数学の読み書きができる人であれば ほとんどの科学分野の数学的概念をマスターする上で 必要な基礎を理解することは難しくありません
半人前になる努力を躊躇すればするほど 習得は難しくなります 話し言葉と同様です しかし 年齢に関係なくできることなのです この件について 私は極端な体験をしている権威です 私はアラバマ大学に入学するまで 代数学を勉強しませんでした その前は誰も教えてくれなかったのです
微積分を勉強したのは 32歳 既にハーバード終身教授の時でした 歳が半分近く若い学部生に交じって 居心地悪く 講義を聞いていました 何人かは私が教えていた 生物進化論の学生でした プライドを飲み込んで微積分を勉強しました
科学とその適用分野において重要なことは 技術的な能力ではなく 応用できる想像力です 本能を頼りに描く本質や過程のイメージを 概念として作り上げる能力です
科学の進歩はほとんど上流工程からは来ません 黒板に立って数学の定理や方程式を 解きながら生まれるイメージよりも むしろ下流工程の想像力が生んだ努力の方が 科学の進歩を生むのです
その過程で数学的裏付けは必ずしも重要ではありません アイデアは実在あるいは想像した世界の 一部をじっくりと研究すると出てくるものです
もっとも重要なことは 取りかかろうとする領域に関する 全ての本質や過程に関する知識を 総合的に体系立てて理解することです 何か新たな発見をした場合 理論的に取るべき次の手順の一つは 数学および統計的手法を用いて分析を進めることです
それが発見者またはチームにとって困難だというのなら 数学者をチームに協力者として追加すればいいのです
ある原理を紹介しましょう 謙遜して ウィルソンの原理 #1 と呼びます
医学研究者も含めて 科学者が 必要な時に 数学者や統計学者の協力を仰ぐ方が 数学者や統計学者が 編み出した方程式を 利用できる科学者を探し出すより よっぽど簡単だ
重要なのは自分が選ぶ科学の方角を決める際 自分の能力に応じた 強い興味がわくテーマを見つけたら それに集中することです
そこでウィルソンの原理 #2です 研究者 技術者 教師 マネジャー ビジネスマンに係らず あらゆる科学者に その人の数学能力に適していて 偉業を達成できる科学あるいは医学分野がある
では続けて さらにいくつかの原理を紹介しましょう あなたの学習やキャリアに 教職に就いている人なら 若い科学者への教育や指導に役立つと思います 独自の研究をしたり世界的専門知識を得るには 研究者が少ない分野を選びなさい 機会を探るには他の学生や研究者が 少なければ少ないほどいい
本質的に必要な広範な学習や 高水準な研究が行われている場所で見習いすることを軽視しているわけではありません 年長の助言者を得たり 励まし合える同年代の友人や同僚は重要です しかしそれにも増して自分を打ち破って まだ人気がない分野を探し出すのです
既に 先のトークで紹介されたとおりです 1年あたり1人の研究者が発見する件数で見ると これが進歩を早める可能性が一番高い方法です 軍隊の格言を聞いたことがあることでしょう 「大砲の音に向かって行進せよ」 科学は正反対です 「大砲の音から遠ざかるように行進せよ」
ウィルソンの原理 #3です 「大砲の音から遠ざかるように行進せよ」 距離をおいて観察するのです 喧噪に入ってはいけません 自分の喧噪を作るのです 自分の専門分野を確立して 自分が情熱を注ぐ職業と機会を得たら あとは専門家となるべく懸命に勉強すれば 成功する可能性は飛躍的に高まります
物理学 化学 生物学 医学 さらには社会科学を通して 短期間で権威になれるような専門分野が そこら中にあります その分野を研究している人が少なければ 一生懸命努力すれば世界的権威になれるのです
世界はそのような専門家を必要としているし とても重宝されるでしょう 初めのうちは存在する情報や発見する内容は貧弱だし 他の知識分野との関連付けも難しく感じるでしょう そんな状況は素晴らしいことです なぜ「簡単」ではなく「困難」なのか?
この答えが 原理 #4 です 科学的発見をする上で あらゆる課題が機会であり 課題が困難であればあるほど 解答の重要性が増す
科学的発見をする手法を根本的に分類してみましょう 数学者を含めて科学者が取る道は 次の二つのいずれかです 一つは初期の発見に基づき課題を特定します そしてその解答を追及します 課題は相対的に小さいかもしれません 例えば あるクルーズ船で発生した ノロウイルスの感染源はどこだったのか? あるいは より大きな課題 宇宙の膨張における暗黒物質の役割とは? 解答を探すうちに 別の事象が発見され それが更なる疑問を生みます
この一つ目の手法は 森の中で ある獲物を追っているハンターが 途中で別の獲物を探し当てるようなものです 2つ目の研究手法は 対象分野を広く研究することです 未知の事象あるいは既知の事象に 基づくパターンを探すのです あたかも夢遊病者のハンターのようにです 研究者は興味深いものは何でも あらゆる獲物に対して関心を示します 探究の目的は課題の解答ではなく 解決する価値がある課題そのものです
研究の二つの手法 独自の研究方法は 私の説く最後の原理です 特定の科学分野における あらゆる課題には その理想的な解答を具現化した 種 もの あるいは事象がある 逆に述べると あらゆる種 もの あるいは事象には 逆に述べると それらが保有する理想的な解答の 対象となる重要な課題が存在する それが何か探し出しなさい 自分の流儀に沿った 発見 学習 教鞭の方法を見つけなさい
近い将来 疾病予防 衛生改善 生活の質向上に 劇的な飛躍が起きるでしょう 全ての人類の繁栄は あなた方が極める 医学や科学の知識と実践に掛かっています あなた方が選んだ路は生涯を通して 人の役にたてる満足感をもたらします
今夜は ご招待いただいたことに感謝します
(拍手)
ありがとう ありがとうございます 皆さまに敬意を
引用元:TED




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無知の追及/スチュワート・ファイアスタイン
意識の理解はどこまで進んだか/アントニオ・ダマシオ
自ら学習するコンピュータの素晴らしくも物恐ろしい可能性/ジェレミー・ハワード
暗号解読に用いる高度な数学を使って金融市場に潜むパターンを解読して1兆円を超える資産を築いた天才数学者=ジム・サイモンズ氏のインタビュー映像
「フィボナッチ数列」の魅力/アーサー・ベンジャミン
人工知能が人間より高い知性を持つようになったとき何が起きるか?/ニック・ボストロム
人間の顔認識システムって凄いなぁと思って調べていたら、脳の組織と心の関係についての神講演を見つけた
アルツハイマー病は正常な老化ではありません。それは治ります。/サミュエル・コーエン
現在の「数学教育」には大きな問題があります。まず、満足している人がいません。/コンラッド・ウルフラム
大切なのは「腸内微生物」だけではありません。私達が体内外に抱えている約1.5キロの微生物が大きく健康を左右していることが分かってきました。/ロブ・ナイト
人生を「生きるに値するもの」にしてくれる「フロー状態」とは何なのか?/心理学者:ミハイ・チクセントミハイ
社会に出たら「微積分」なんてほとんど使わない。これからは「確率と統計学」を教えるべき/アーサー・ベンジャミン
近い将来、脳に浮かんだイメージを画面に表示することが可能になるだろう/メアリー・ルー・ジェプセン
「若気の至り」の原因は、成長途上の脳にある/サラ=ジェイン・ブレイクモア:「青年期の脳の不思議」
ヒトはイルカの言葉を話せるだろうか?/デニーズ・ハージング
愛とは何か?/ブラッド・トロガー
グーグルで調べれば分かる知識を詰め込むだけの教師は必要ない。子どもたちは何も教えなくてもインターネットを使いこなして自分で教材を見つけ出せる/スガタ・ミトラ
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なぜ人は眠るのか?/神経科学者:ラッセル・フォスター
脳卒中に襲われ、自分の脳が情報処理能力を失っていくのを体験した脳科学者が、その貴重な体験から得たものとは?/Jill Bolte Taylors (ジル・ボルト・テイラー)
薬剤研究のための画期的な資金調達法/ロジャー・スタイン
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