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政治離れが進んでいる理由と、政治にうんざりしている人々が今起こすべき行動/アレサンドラ・オロフィーノ

都市活動家のアレサンドラ・オロフィーノさんが、市民権を行使できるのが投票の時だけというのはもはや現状に合っていないと分析。世界には市民参加のための変革がすぐにでも必要であり、市民自身が政策参加のための独自の仕組みを構築するべきだと訴えています。

(所要時間:約16分)

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動画の内容 (全文書き起こし)
Engagement

世界の人口の54%が都市で暮らし 発展途上国では都市人口の3分の1がスラム街で暮らしています 世界のエネルギーの75%が消費されるのも都市なら 地球温暖化の原因となるガスを80%排出しているのも都市です

私たちが地球規模の問題として考えているもの 例えば 気候変動やエネルギー危機 貧困といったものは いろいろな意味で都市問題なのです 私たちのような 都市に暮らす住民が 実際 行動を起こさない限り そういった問題は解決しないのです 今のところ 私たちはあまり行動していません それは 都市生活の 3つの側面を見れば明らかなことです

第1に 住民がすすんで民主的システムに関与しているか 第2に すべての住民が便益を享受しているか そして最後に 人々が満ち足りた幸福な生活を送っているか ということです

「関与」については データはとても明白です 世界の投票率は80年代後半がピークで それ以降かつて経験したことのないペースで低下しています それらの数字が 国のレベルで悪いと言うなら 都市のレベルでは悲惨としか言い様がありません

過去2年において 世界の中でも体制が確立している2国 最も長い民主主義の歴史を持つアメリカとフランスにおいて全土にわたる地方選挙がありました フランスの投票率は過去最低で およそ40%の有権者が棄権しました アメリカの投票率はさらに低いものでした 中には投票率が5%程度の都市もありました そのことを少し考えてみましょう

民主主義の都市のことを話しているのですが 95%の人々が議員を選挙で選ぶことを重要だと思っていないのです 人口400万人のロサンゼルスでは たった20万票の得票で市長が選ばれました それは過去100年間で最低の得票率でした

ここ 私が住んでいるリオデジャネイロでは投票は義務ですが 前回の市長選挙では有権者の約30%が投票を無効とする もしくは家にいて罰金を支払うという選択をしました

「享受」という面でも 都市は成功例と言えません これもまた そのことを証明するために遠くに目を向ける必要はありません リオデジャネイロは信じられないほど不平等です

これはレブロンです レブロンにはお金持ちが暮らしています そして これがコンプレクソ・ド・アレマンです ここは70万人を超える貧しい人たちが暮らしています レブロンの人間開発指数 (HDI)は0.967です この数字は ノルウェー、スイス、スウェーデンよりも 高いのです コンプレクソ・ド・アレマンのHDIは0.711で アルジェリアとガボンの中間に位置しています

リオデジャネイロは グローバル・サウスの多くの都市同様 北ヨーロッパ並の所から サハラ以南アフリカ並の所まで車で30分程しか離れていないのです 公共交通機関を使うと2時間かかりますけど

そして最後に 最も重要なことかもしれませんが 信じられないくらい豊かな人間関係を可能にしてくれる都市は 人々の幸せが花開く理想の場所になり得るはずです 私たちは人と一緒にいるのが好きです 私たちは社会的な動物なのです しかし 都市の成長のピークを過ぎた国では 都市が住民を幸福にできなくなっています

アメリカ人で幸福であると感じる人口は 過去30年間 全体的に減少していますが 主な原因はこれです アメリカ式のまちづくりのために 良質な公共の場が多くの都市で事実上消えてしまいました その結果 私たちに幸せを感じさせる人間関係が減ってしまったのです

多くの調査が示しているのは 孤独が増える一方で 人々の連帯、誠実さ、市民の社会参加が減っていることです

私たちが好きになれる都市づくりをどうしたら始められるでしょう? 都市の最も大きな資産である 住民の豊かな多様性を大切にする都市 住民を幸せにする都市を どうしたら作れるでしょう?

都市のあり様を変えたいのなら 政策決定のプロセスを変える必要があるでしょう 現状は政策決定の結果だからです 市民参加のための変革が必要であり しかも すぐに必要です

市民権を行使できるのが投票する時だけというのは もはや現状に合っていません 数年ごとにやってくる権利を委譲する時にしか権利を持つ個人として扱われないことに みんなうんざりしています

2013年6月のブラジル抗議運動から私たちが学んだことがあるとしたら 選挙以外で権利を行使しようとするとボコボコに殴られたり 屈辱を受けたり 逮捕されたりするということです

これは変える必要があります なぜなら その変化によって人々が自分たちの代表選びを再びし始めるだけでなく 直接的 効果的な 集団的意志決定によって 既存の体制を補えるからです この意志決定は あらゆる人を含むことで 不平等を排撃し より住みやすい場所に街を創り変えるというタイプの意志決定です

でも 明らかに落とし穴があります 広い範囲の人の参加と 権利の再配分をするのには 物理的な困難が伴います そこでテクノロジーがとても有益な役割を果たします 人々の組織化や話し合いを容易にしてくれます みんなが同じ時刻 同じ部屋に いる必要はありません

私たちにとって残念なことに 民主プロセスを育むという面で 市政はテクノロジーを有効に使っていません これまで市政がテクノロジーを有効に活用してきたのは 市民を人間センサーとして使う時くらいです 例えば 道にできた穴、倒れた木々 壊れたランプなど 市に関するデータを 市役所に報告させるのです

そこまで一般的では ありませんが 既に決定した政策の結果を向上させるため 市民の参加を求めることもあります しかしそれはまるで 8歳の時に ママの言ったことを思わせます 8時までにベッドに行ったら ピンクのパジャマかブルーのパジャマか 自分で選んでもいいと そんなの参加ではありません

実際のところ政府は 重要な案件については市民の参加を促すためにテクノロジーを上手く使っているとは言えません 予算配分もそうだし 土地の占有方法や 天然資源の管理方法もそうです この種の決定こそ 都市で姿を現す地球規模の問題に 実際に影響を与えるものなのです

良い知らせは — 私の話は悪いことばかりじゃありません — 政府の取組みを待つ必要はないということです 市民自身が参加のための独自の仕組みを構築できると信じる理由があります

3年前 私は マイ・リオ(Meu Rio) という団体を共同で設立しました リオデジャネイロの人々が 特定の目的や場所をめぐって人々を組織化し その目的や場所に 日々影響を与えられるようにするのです

過去3年間でマイ・リオは リオデジャネイロの16万人の市民のネットワークに発展しました メンバーのうち40%が 20歳から29歳の若者です それは今日リオデジャネイロに住むこの年代の 15人に1人に相当します

メンバーの中で 右側に写っている かわいい女の子のビアは 11歳の時 彼女の通う模範的公立中学校を取り壊しから救うため 我々の提供するツールを使ってキャンペーンを始めました 彼女の学校はブラジルでも最優秀の公立中学校でしたが リオデジャネイロ州政府によって 冗談ではなく サッカーワールドカップに備えた駐車場の建設のため取り壊されることになっていました

ビアはキャンペーンを始め 私たちはウェブカムで 週7日 1日24時間 学校を監視しました 何か月か後にようやく政府も態度を変えました ビアの学校は取り壊されずに済みました

こちらはジョビータです ジョビータはすごい人で 10年前に娘さんが行方不明になって以来ずっと娘さんを探し続けています その中で彼女が最初に気付いたのは 自分が独りではないということでした 昨年の2013年だけで リオデジャネイロ州では6千人が行方不明になっています それにも関わらず リオデジャネイロには 行方不明者捜索のための 一元化された情報システムが存在しないことに彼女は気付きました

他のブラジルの都市ではそのシステムを使って 80%までの行方不明者の事件を解決しています ジョビータはキャンペーンをはじめ 保安局長に 一元化された情報システムを求める市民のEメールが1万6千通以上寄せられて ようやく 行方不明事件を専門に扱う警察部隊が作られ始めました 先月末に一般に告知され ジョビータが映っていますが インタビューを受け晴々としています

次はレアンドロの例です レアンドロはリオデジャネイロの スラムに暮らす素晴らしい人で スラムでリサイクル・プロジェクトを始めました しかし昨年末の12月16日に レアンドロはリオデジャネイロ州政府より立ち退き命令を受けました 2年間活動してきた場所を2週間で立ち退くよう命令されたのです そこを建設用地とする開発業者にその場所は渡される予定でした

レアンドロは「圧力鍋」という ウェブサイトを使ってキャンペーンを始めました ビアやジョビータも使っていたものです そしてクリスマス・イブの前に州政府は態度を変えました このような話を聞くと私は幸せな気分になりますが ハッピーエンドだからではありません 私を幸せな気分にするのは それがハッピーな始まりだからです

ビアの学校の教師やPTAは その場所の価値をさらに高める別の方法を模索しています レアンドロにはリオデジャネイロの他の低所得コミュニティに彼の方法を広めようと取り組み ジョビータは自分が設立のきっかけとなった警察部隊でボランティアをしています

ビアやジョビータやレアンドロは 世界中の市民や役所が知る必要のある生きた事例です 私たちは準備万端です 市民として 運命共同体の行く末を決める準備はできています 権力をどう分配しているかは 実際にお互いをいかに尊重しているかを示し 地方行政に参画することは お互いの人間関係を本当に大事にしているしるしだと理解しているからです

今 世界中の都市で このようなことをする準備が整っています 「我が街ネットワーク」を使い マイ・リオのチームは 自分たちの都市で率先して 似たようなことをしたい人々に 学んできたことを共有したいと思っています すでにサンパウロで始めており 素晴らしい成果を上げました

世界中の都市で 市民中心の 市民主導型の組織を通じて それを行ってほしいと思っています それが私たちの刺激になり 意欲を掻き立て 都市生活の中で 本当の参画をするよう促してくれるのです

決めるのは皆さん次第です 欲しいのは学校ですか それとも駐車場? コミュニティ主導の リサイクル・プロジェクトか それとも建設用地? 孤独 それとも連帯? 自家用車 それともバス?

今それをすることが 私たちの責任なのです 私たち自身のために 家族のために 私たちの人生を意義あるものにしてくれる人々のために 私たちの都市の驚くほどの創造性と 美と 素晴らしさのために

都市は 問題が山積みであるにしても 我々の時代における最高の発明品なんです

オブリガード ありがとうございました

(拍手)

引用元:TED

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