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インターネットを取り戻すために/エドワード・スノーデン

2014年3月に配信された、TED講演「インターネットを取り戻すために/エドワード・スノーデン」を紹介します。インタビュアーはクリス・アンダーソン、特別ゲストにティム・バーナーズ=リーが登場します。

(所要時間:約35分)

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動画の内容 (全文書き起こし)
インターネットを取り戻すために/エドワード・スノーデン

(クリス・アンダーソン) 市民の権利 — インターネットの未来 このTEDのステージに 一連の暴露報道の背後にいる人物を迎えましょう エドワード・スノーデンです

(拍手)

彼はここから遠く離れた ロシアのとある場所にいて ノートPCで このロボットを 操作しています 彼はこのロボットの目を通して見ています エドワード TEDへようこそ 実際のところ そちらからは何が見えていますか?

(エドワード・スノーデン) みんなが見えますよ すごいもんだ (笑)

(クリス) いくつか聞きたいことがあります あなたはこの何ヶ月か いろんな呼び方をされてきました 内部告発者 裏切り者 ヒーロー ご自身では 自分をどう言い表しますか?

(エドワード) この議論に加わる人はみんな 私自身のことや 私の人格 私をどう位置づけるかといったことで 頭を悩ませているみたいですが そんなことで悩むべきではありません 私が何者かは問題ではないのです 私が世界で最悪の人間だというなら 単に嫌ってもらえばいい 本当に重要なのは 私が提起した問題の方です 今 本当に重要なのは 私達がどんな政府 — どんなインターネット — どんな形の 人と社会の関係を求めるのかということです それが私の望んでいる議論の方向で 時とともにそういう議論が増えてきています 自分を説明するとしたら 私は「ヒーロー」とか 「愛国者」とか「裏切り者」 といった言葉は使いません 私はみんなと同じ 1人のアメリカ人であり 市民です

(クリス) 話の全容を ご存じない方のために 説明しますが — (拍手) 1年前の今頃 あなたはハワイでNSAの仕事をしていました システム管理者としてシステムにアクセスできたあなたは 選りすぐったジャーナリスト何人かに ある種の極秘文書を提供し始め それが — 6月の暴露報道へとつながりました そうしようと思った動機は何だったんですか?

(エドワード) そうですね ハワイで働いていた時や それ以前に何年か情報機関で働いていた時に 心乱されるようなものをいろいろ目にしました 情報機関では 必要なこと — みんなのためになるような良い事もたくさんしています しかし行き過ぎたところもあって すべきでないことが行われ 重要な決定が秘密裏になされています 人々の知らないところで 社会の同意を得ることもなく行われ 我々の代表である議員ですら そういったプログラムについて知らされていないのです 私がこの問題に深く悩むようになって考えたのは リスクを最小限に留めながら 公益を最大にできる 最も責任ある行動を取るにはどうすればよいかということでした いろいろな方法を考えました 議会で公表しようかとも考えましたが 私のような一個人 情報機関で働く契約スタッフに対する法的な保護というのは存在せず 情報と一緒に葬り去られ 誰にも知られずに終わるという懸念がありました

しかし我々には 報道の自由を保障する 憲法修正第1条があります これは政府への批判報道や 異議を唱えることを可能にするためですが 同時に 政府と手を携え 国の安全を脅かすことなく 重要な問題を公に知らせる方法について 対話や議論をすることも可能にしています だからジャーナリストと協力して すべての情報をアメリカ国民に返してしまう方が どう公開するか自分で決めるよりも良いと判断したのです 政府で時間を費やして しっかりした議論をしてきたことが すべての人の役に立っていると思います また恐れられていたリスク — 政府が誇張してきたリスクが 現実のものになることもありませんでした 具体的な害が生じたという証拠は1つもありません ですから私は 自分のした決断に満足しています

(クリス) ではあなたが 暴露した情報を いくつか皆さんに お見せしたいと思います スライドを出してもらえますか? そちらから見えるか 分かりませんが スライドが出ています PRISMプログラムのスライドです ここから何が明らかになったのか あなたから説明していただけますか?

(エドワード) いろいろ混乱があるようなので PRISMを理解してもらうため まず PRISMが何でないかを語るのが良いと思います アメリカでしきりに議論されたのは メタデータについてでした あれはメタデータに過ぎないという説明が繰り返され 愛国者法215条が法的根拠とされました この法律で可能になるのは 令状なしの通信傍受や 全国規模での通話記録の監視 といったことです 誰が誰と通話したか いつ通話したかといった 通話記録や 誰がどこへ行ったか そういったものが メタデータです

しかしPRISMは 内容に関するものです このプログラムを通じて 政府はアメリカ企業に対し NSAに代わって汚い仕事をするよう無理強いすることができます 企業の中には Yahoo のように抵抗したところもありますが 裁判ではことごとく負けています 公開裁判ではなかったからです 審理はすべて秘密法廷でなされました PRISMについて私がとても懸念を感じるところですが 政府によると 15人の連邦判事がそれらのプログラムを審査して 合法だと判断したそうです

しかしここで彼らが語っていないのは それが非公開法廷において 非公開の判事によって 非公開の法律解釈に基づいて行われているということです 過去33年間に3万4千件の 令状申請がありましたが 却下された政府による申請は 33年間で たった11件しかないんです 自由でオープンな インターネットにおけるアメリカ企業の役割について そんな人たちに決めて欲しいとは思わないでしょう

(クリス) 今出ているスライドには どのインターネット企業が いつこのプログラムに参加し データ収集が始まったのかという 日付が書かれています 企業側はみんなNSAとの協力を否定していますが NSAはどのようにして データを集めていたのでしょう?

(エドワード) NSAのスライドには 「直接アクセス」と書かれています 私のようなNSAの分析官 — ハワイから 中国のハッカーなどを標的に 情報分析する人間にとって 「直接アクセス」が意味しているのは データを相手のサーバーから直接取るということです これは別に 企業の代表者が 煙草の煙が立ち込めた部屋で NSAとよろしくやって データをどう引き渡すか密談しているということではありません それぞれの企業は 異なる対応をしていて 責任の重い企業もあれば 幾分軽い企業もありますが 肝心なのは 情報がどんな経路で渡ったかということで言うと いずれも企業から直接 来ているということです ネットワークから傍受されたのではありません ただ 念頭におくべきなのは — 企業が抵抗を試み 政府に対して要求し ちゃんと裁判所を通そう — なんらかの法的なチェックがなされ しかるべき根拠に基づいて ユーザーデータの引き渡しが行われるようにしよう と言っても無駄だということです

去年のワシントンポスト紙の報道にあるように — これは PRISMの件ほど 大きく取り上げられていませんが NSAは なんと — GoogleやYahooの データセンター間の通信に入り込んでいたんです 企業がたとえ 強制され 法に従う形で NSAに協力したところで NSAがそれで満足することはありません ですから企業は ユーザーの利益を代表し ユーザーの権利を代弁すべく できる限りの努力をする必要があると思います この1年で PRISMのスライドに出ていた企業が その点で大きく前進しました その努力を続けてほしいと思います

(クリス) 企業が他にすべきことは 何でしょう?

(エドワード) アメリカの インターネット企業が今 世界のユーザーの権利を守るために 弁護士への相談なしにできる 最も効果的なことは SSLを有効にして すべてのウェブアクセスを暗号化することです これがなぜ重要かというと あなたがAmazonのウェブサイトで 『1984年』を検索したとすると その記録はNSAだけでなく ロシアの諜報機関であれ 中国の機関であれ フランスの機関であれ ドイツの機関であれ アンドラの機関であれ 見ることが可能だからです 暗号化されていないので みんな見ることができます Amazonは世界の図書館ですが ページは通常 暗号化されてないだけでなく 本を探す時に 暗号化するという選択肢がそもそも存在しないのです これはAmazonに限らず 変えるべきことです Amazonの名を挙げたのは 格好の例だからに過ぎません すべての企業は ユーザーがウェブを見る時に 何も選択しなかった場合の既定の動作として 暗号化を有効にすべきです そうすれば世界中の人々のプライバシーと権利が より強く守られるようになります

(クリス) エドワード こちらに来てもらえますか 次のスライドを見てみましょう (拍手) これは「バウンドレス・インフォーマント」 というプログラムですが 説明してもらえますか?

(エドワード) これに関しては NSAは — うまく名前を付けたものだと思います 「際限なき情報提供者」 という意味です バウンドレス・インフォーマントは NSAが議会に隠していたプログラムです NSAは以前 議会の聴聞会で質問を受けました アメリカ人による通信で 傍受しているものが どれくらいあるのか 大まかな数字を出せるか と聞かれたんですが NSAは「不可能」だと答えました そんな数値は記録していないし することもできない — 世界中で傍受している通信の数を調べようとすると プライバシーを侵害しかねないため答えられないと回答したんです そう思ってくれるのはありがたいんですが 実際には このスライドを見ると NSAは その能力をすでに持っているだけでなく 実施もしているのが分かります NSAには 通信の 受信側 発信側 どちらも追跡できる 内部データ形式があり アメリカから 発せられた通信を見て 現在どれだけの通信を押さえているか 議会に対して即座に答えられるのです バウンドレス・インフォーマントを見ると分かることですが アメリカ国内で傍受されている — アメリカ人による通信の数は ロシア国内で傍受される ロシア人の通信より多いのです それが諜報機関の目指すべきことなのか はなはだ疑問を感じます

(クリス) あなたのデータを元にした ワシントンポスト紙の記事で 「NSAのプラバシー規則違反は 年に数千件」 というのがあります これについて聞かせてください

(エドワード) 去年NSAの議会証言がありましたが 私のようにNSAにいて内部資料を見ており 何が書かれているか知っている者からすると 驚くべき内容でした NSA局員が宣誓した上で 逸脱した使用や内規違反などなかったと証言したんですから — この記事が出るのが分かっていたので 呆れました これに関して殊に興味深いのは NSAは年に 何千回も自らの規則を破っていただけでなく その2,776 件の違反の中には 1度に3千人以上が 影響を受けたものさえあったということです 別のケースでは ワシントンDCの全通話が誤って傍受されるということもありました さほど注目されていませんが この資料で驚くのは 2,776件もの乱用があっただけでなく 上院情報特別委員会の委員長ダイアン・ファインスタインは ワシントンポスト紙からコメントを求められるまで この資料の存在について知らなかったということです それで彼女はNSAに資料を要求して 受け取ったわけですが それ以前には見たこともなかったのです これはアメリカにおける 諜報機関の監督状況を物語っています 上院情報特別委員会の委員長が 年に何千回も規則が破られていることを全く知らなかったのですから

(クリス) この議論に対しては こんな反応があります 「どうして そんな監視を気にする必要があるのか? 悪いことをしていなければ 何も心配することはない」 というものです このような見方のどこが問題なのでしょう?

(エドワード) 第一に 権利を放棄している ということです 「その権利が必要になることはないだろうし 信用してるから別にいらないよ 連中は正しいことをやるだろうから別に問題ない」というわけです 権利が大切なのは いつ必要になるか分からないからです さらに この権利は アメリカだけでなく 西欧社会や 世界の民主主義社会における 文化的アイデンティティの一部をなすものです 我々は家族に電話を掛けることができるべきであり 好きな人にメールを送れるべきであり ネットで本を買えるべきであり 電車で旅行できるべきであり 航空チケットを買えるべきなのです しかも そういった行動が 何年も経ってから どこかの国の機関の目に留まって どう思われるだろうかとか 自分の行動が誤解され 意図を詮索されやしないかと心配しなくていい というのが重要です 我々にはプライバシーの権利があるのです しかるべき理由や 個々の容疑に基づいた令状を求めるべきです 誰であれ どこの政府であれ 人々の通信すべてを 人目の届かないところで 監督も付けずに ゆだねてしまうというのは あまりに危険であり 見過ごせません

(クリス) あなたのしたことに 怒っている人たちもいます 最近ディック・チェイニーが 言っていたんですが ジュリアン・アサンジは 蚤に食われた程度だが エドワード・スノーデンは 犬の頭を食いちぎるライオンだと チェイニーはあなたが アメリカ史上最悪の裏切り行為を働いたと考えています そういう人たちにはどう答えますか?

(エドワード) ディック・チェイニーは 大げさですよね (笑) (拍手) いつもながら (笑) ジュリアン・アサンジが 最大級の暴露をしたときに ディック・チェイニーは アサンジのせいで 世界中の政府が崩壊し 空は燃え上がり 海は沸き返る — と言っていたのに 今や蚤に食われた程度だと言うんですから この手の 政府関係者が語る — 「国家の安全に関わる」という誇張された話は疑ってかかる必要があります 百歩譲って 彼らが本気で そう信じているのだとしても 彼らは国家の安全について狭い見方をしています ディック・チェイニーのような特権を持つ人たちによって 国が安全になりはしません 公益と国益は 必ずしも一致しないのです 別に脅威のない場所へ 敵でもない人々と 戦争をしに行っても 我々が安全になるわけでは ありません それはイラクであれ インターネットであれ 同じことです インターネットは 敵ではありません 経済は敵ではありません アメリカ企業 中国企業 その他の企業は みな我々の 社会の一部なのです 繋がり合った 世界の一部です みんなを繋ぎ合わせている 友好の絆があります 我々が守るだろうと 世界中の人々が期待している — 道徳規範やセキュリティや 行動様式を破ることで 我々自身が その絆を壊すとしたら いったいどうなるでしょう?

(クリス) あなたは170万件の文書を “盗んだ”とされていますが これまでジャーナリストの 手に渡ったのは数百件に過ぎないようです まだまだ暴露は続くということでしょうか?

(エドワード) 間違いなく続くでしょう 最も重要なもののいくつかが 今後 公開されるのは確かです

(クリス) こっちへ来てもらえますか この件について 伺いたいので 見てください この場には技術畑の人もたくさんいますが このニュースは そういう人の多くにとって ここ数ヶ月で耳にした 最も衝撃的な話でしょう 「ブルラン」というプログラムのことです 説明していただけますか?

(エドワード) ブルランもまた NSAの率直な命名に 感心させられますが 南北戦争における戦闘から名前が取られています 同様に「エッジヒル」は 英国の内戦から名が取られています こういった名前を付けた理由は 自らのインフラをターゲットとするものだからでしょう このプログラムを通じて NSAは 協力している企業を意図的に欺いていました — これは安全な標準です — おたくのシステムが安全になるよう お手伝いをしましょうと 言いながら 実際には企業にまずいアドバイスを与え サービスの安全性を低下させていたのです NSAは自分達が使うためのバックドアを仕込みましたが 時間と資金を使って見つけ出せる者であれば 誰でもそれを利用して通信に割って入ることができます これは非常に危険なことで たった1つのセキュリティ標準 — 例えばブルランが 特に標的にしていた SSLのような標準の信頼性が失われるだけで 我々の住む世界全体の安全性が下がるのです 銀行にアクセスするにも オンラインショップを使うにも 通信を監視し 妨害する人々の心配をしなければならなくなります

(クリス) バックドアを仕込むという決断は同時に アメリカを外からのサイバー攻撃にさらすことになり得る ということですか?

(エドワード) その通りです 9・11以降 — 我々が目にしてきた 危険な遺産とも言える問題があります NSAは伝統的に2つの役割を担ってきました 攻撃的な活動 ハッキングの役割を担う一方で 防御的な役割も担っていて 伝統的に攻撃より防御に重きが置かれていました アメリカの秘密は 他国の秘密よりも価値が高いという認識からです アメリカが中国企業をハッキングして 機密情報を盗む あるいは ベルリンの政府機関をハッキングして 機密情報を盗むよりも 中国がアメリカの秘密を盗めないようにすることの方が アメリカにとって大事なことなんです 通信の安全性を下げることで NSAは世界を危険にさらすだけでなく アメリカの根幹を危機にさらしています なぜならアメリカ経済にとって 知的財産は 基盤をなすものだからです 安全性を損なってそれを危険にさらすなら 後で高いツケを払うことになるでしょう

(クリス) しかしそれは テロ対策の一環として そうする価値があると計算してのことでしょう それだけの対価を払う価値があると

(エドワード) これらのプログラムが 実際 テロの阻止に役立ったか検討すれば いかに根拠を欠いているかが分かるでしょう 私の言葉を信じる必要はありません この件を審理する 初めての公開法廷が 連邦裁判所で開かれましたが これらのプログラムは オーウェル的で 憲法違反の疑いが強いと判断しています これらのことについて 報告を受ける立場にあり また その必要を感じた議会は 改正のための法案を作っています 機密扱いの証拠を審査した 政府の2つの独立委員会が これらのプログラムは アメリカに差し迫ったテロ攻撃を1つとして阻止していないと 結論づけています これは本当に テロ阻止のためなのでしょうか? そもそも これらのプログラムに価値はあるのか? 私は価値がないと思っていますし アメリカの司法 立法 行政も そう考えています

(クリス) これには テロとの戦いよりも深い動機があるということでしょうか?

(エドワード) ごめんなさい 聞こえなかった

(クリス) これには テロとの戦いよりも深い動機があると お考えでしょうか?

(エドワード) ええ 我々 情報機関の人間に言わせると テロというのは いつも 口実として使われてきたんです 人々はテロに対しては 感情的に反応して 普通なら認めない程の強権やプログラムも認めようという気になるのです ブルランやエッジヒルのような 強力な力を NSAは1990年代にも 手に入れようとしたことがあって 議会で要求するよう FBIに求めました FBIは議会に行って要求しましたが 議会や国民は拒否しました 経済をリスクにさらす程の価値はない — 得られるものに対し 社会的損失が 大きすぎるためです しかし9・11以降 テロ対策を口実に これらのプログラムを 秘密裏に 議会や国民の了承を得ることなく やり始めたのです 陰で企みごとをしているような政府こそ 我々が身を守らねばならない相手なのです 我々の安全を損なうだけで 価値あるものは提供しないのですから

(クリス) ちょっと近くに 来てもらえますか 個人的な質問をしたいので あなたはロシアに 亡命中の身ですが その状況に 恐怖を感じる人も多いことでしょう ウィキリークスに米軍機密を漏らした ブラッドリー・マニングが 今どのような扱いを受けているかは ご存じですね BuzzFeedの記事によると 情報機関には あなたに死んで欲しいと思っている人間もいるようです それをどう思いますか? どう恐怖に対処しているのでしょう?

(エドワード) 私の死を望む政府があっても 何も不思議はありません 繰り返し言ってきたことですが 毎朝 床に就く時に私が考えるのは アメリカ国民のために 自分には何ができるかということです 政府を傷つけようという気はありません 政府を助けたいと思っているのです しかし政府が 正しい手続きを一切無視し 裁判なしに 有罪宣告をしようとしている以上 私たちは社会一丸となって対抗し 「こんなの正しくない」と言わなければなりません 反対派を脅すべきではないし ジャーナリズムを犯罪扱いすべきでもありません そのようなことを終わらせられるのであれば 私は喜んで危険を冒します

(クリス) ここで 会場の皆さんの意見を聞きたいと思います エドワード・スノーデンに対する評価は 人によって大きく異なるからです 2つの意見があります 彼の行動はまったく無責任なもので アメリカを危険にさらしているという見方と 彼の行動は勇敢で 長い目で見ればアメリカや世界全体のためになることだ という見方です この2つのうち どちらかを選んでください 最初の方 無責任な行動だと思う人は どれくらい いるでしょうか? 何人か手が 挙がっていますね 当人を前に手を挙げるのは難しいかと思いますが 何人かいます

(エドワード) ちゃんと見えてますよ (笑)

(クリス) 2番目の方 勇敢な行動だと思う人は? (拍手) (歓声) 手を挙げなかった人もたくさんいますが まだ決めかねているのでしょう あなたを巡る議論は 従来の政策論議みたいに きれいに二分できるものではないからです 右派か左派かということでも 政府支持か自由主義か という話でもありません これは ある部分では 世代の問題なのかもしれません あなたはインターネットとともに育ってきた世代ですね そういう世代の人は インターネットを損なうものに対しては ほとんど本能的な怒りを感じるように見受けられますが?

(エドワード) まったくその通りです これは右か左かという 問題ではありません 我々が持つ 基本的な自由の問題です 「我々」というのは アメリカに限らず 世界中の人ということです これは党派的な問題ではありません この自由は誰もが信じるものであり それを守るのは我々 ― 自由でオープンな インターネットを享受している みんなの責任です この自由を次の世代も享受できるようにするのは 我々の責任です 私たちが手をこまねいて 立ち上がらず インターネットの安全を守るために必要なことをしないなら 自分たちだけでなく すべての人が自由を失うことになり それは私たちだけでなく 世界にとってとんでもない損失となるでしょう

(クリス) あなたと似た主張を 最近WWWの創始者の 口から聞きました 会場にいらっしゃると思いますが ティム・バーナーズ=リーです ステージに上がって 意見を聞かせていただけませんか? ティムのマイクはある? (拍手) ティム ようこそ ちなみにあなたは どちらの意見ですか? 裏切り者かヒーローか? 私には予想がついてますが

(ティム) その質問については詳細な回答をしていますが どちらか1つと言うことなら ヒーローですね

(クリス) エドワード ティムの提案した インターネットを取り戻すための大憲章については読んでいると思いますが 有効だと思いますか?

(エドワード) もちろんです 私の世代はインターネットのことを考えながら育ってきただけでなく インターネットの中で育ったのです このように直接的に それを守る立場になって それを体現する シンボルになろうとは思ってもいませんでしたが 詩的にすら感じられるのは インターネットの子供の1人が 政治的意見の表明によって 本当にインターネットと 近しき者になったということです インターネットの大憲章こそ まさに我々が 必要としているものだと思います 我々は自らの価値観を 文書の中だけでなく インターネットの仕組の中に刻み込む必要があります それこそ私が望むことであり この バンクーバーのTED会場にいる人だけでなく 世界中の人に加わってほしいと願っています

(クリス) 彼に何か 質問はありますか?

(ティム) 2つあります 一般的なものと—

(クリス) エドワード 聞こえていますか?

(エドワード) ええ 聞こえています

(クリス) ああ 映像が戻りましたね

(ティム) 盗聴者が何か悪さしてるのかもしれないね (笑)

(エドワード) NSAの介入ですね!

(ティム) ウェブの25年の歴史を振り返って 我々の望むインターネットについての議論から 我々が得ることのできる最良のものは何だと思いますか?

(エドワード) 我々が どこまでやれるかということになると それを制限するものはただ 我々が何をかけられるか ということだと思います これまで我々が享受してきたインターネットは アメリカだけでなく世界中の人々が必要とするものです 技術を専門とする人たちだけでなく あなたが仰るように 普通のユーザー すなわち ネットやソーシャルメディアを通じて貢献する人々 天気予報をチェックしたり 生活の一部として ネットに頼る人々と協力し みんなを取りこむことで インターネットを守るのです 我々は今までの インターネットを取り戻すだけでなく より良いインターネット より良い今を手に入れるのです それは望んでいたよりも良い というだけでなく 想像し得た何よりも 素晴らしい未来を築く基礎となるでしょう

(クリス) TEDが生まれたのは 30年前の1984年です それ以来TEDで為されてきた議論の多くは オーウェルは間違っていた というものでした ビッグブラザーが我々を監視するのではなく ウェブの力と透明性を手に 我々がビッグブラザーを監視するのだと エドワードの暴露は その楽観的な見方の心臓を貫く杭でしたが あなたはまだ手はあると考えているのですよね? そしてティム あなたも

(エドワード) そうです 議論しなければならないのは ビッグブラザーが大きな力を持ちつつあるという点です 最近イェール大学の 法律関係の記事に載った — バンクストン・ ソルタニの原理によると 政府による監視活動のコストが 1桁下がる時 人々のプライバシーに対する期待は破られるということです だから その都度 プライバシーの権利を見直し バランスをとる必要があります ところが政府の持つ監視能力が 桁違いに強くなっているにもかかわらず そのプライバシーの見直しが行われていないため 現在の問題があるわけです しかし希望はあります なぜなら個人の力もまた テクノロジーの力で強くなっているからです 私がその生きた証拠です 一個人が世界で最も力を持った政府や情報機関を相手に 差しで勝負して 勝つことができるのですから この事実に 私たちは希望を見出し 技術を持つ専門家だけでなく 世界中の普通の市民が その力を手にできるようにする 必要があります ジャーナリズムは 犯罪ではありません コミュニケーションは 犯罪ではありません 我々は日常の行動を 監視されるべきではないのです

(クリス) どう握手したものかと思いますが

(クリス) ここを手としましょうか

(ティム) そのうち握手もできるようになりますよ

(エドワード) 光栄です お二人の素晴らしい笑顔が見えます 私も同じように見えているといいのですが

(クリス) ティム どうもありがとう

(拍手) 先日ニューヨークタイムズ紙が あなたへの恩赦を求めましたが アメリカに戻れるチャンスがあれば 戻りたいと思いますか?

(エドワード) もちろんです 私の活動の基礎にあるのは 公共の利益と アメリカや世界の報道の根底にある基本原則です もし報道機関が これを支持すると言うなら — そうなる必要がありますが — 議論の力となるでしょう しかしそれは結論ではなく 最終的には 社会が決めることです 一方で政府は 何らかの取引がしたいようです アメリカに戻りたければ 協力したジャーナリストを売れと言うのです はっきりさせておきますが 私は自分の安全のためにやったのではなく 正しいことだからやったのです 公共の利益を目指す活動を個人的な利益のためにやめることはありません

(拍手)

(クリス) その日を前に インターネットと テクノロジーのおかげで このような形で 北アメリカに 戻って来られましたね 合衆国でなくカナダですが ちょっと教えてください どんな気分ですか?

(エドワード) カナダは思っていたのと だいぶ違いますね ずっとあったかい (笑)

(クリス) TEDのミッションは 「価値あるアイデアを広める」ことです もし1つのアイデアに まとめるとしたら あなたが今 現在 — 広める価値があると考えるアイデアは何ですか?

(エドワード) 去年は民主主義が 閉じた部屋の中で死ぬ可能性に みんなが気づいた年でしたが 一方で 個人としての我々も 閉じた部屋の中で 生まれるものです 良い政府を持つために プライバシーをあきらめる必要はないのです 安全のために 自由をあきらめる必要はないのです みんなで取り組むことで オープンな政府と プライバシーのある生活の 両方を手に入れられると思います それを実現するために 世界中のみんなと協力していきたいと思います

どうもありがとうございました

(クリス) エドワード ありがとう

(拍手)

引用元:TED

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