2014年12月27日 仕事・生活 タグ: 医療, 原発問題, 報道ステーション
<福島原発事故> 1巡目検査で「異常なし」の子ども4人が2巡目検査で「甲状腺がん疑い」/報道ステーション
2014年12月24日に放送された、報道ステーション「前回“異常なし”の子ども4人 2巡目検査で甲状腺がん疑い」を紹介します。
(所要時間:約6分)
動画の内容 (全文書き起こし)
<古館キャスター>
さて、ガラッと変わりまして次のニュースなんですが、この番組、報道ステーションではですね、今年(※2014年)の3月11日にですね、原発事故で出た放射線と、子どもの甲状腺ガンの因果関係について「はっきりとは分からない」だけに、例えばチェルノブイリの場合は、4年から5年、事故後、放出されてから、そこからこの甲状腺ガンが子どもの間で急増していった、この点をどう見たらいいのかという特集をお伝えしました。
それに関しては、いろんなご批判も含めてご意見をいただきました。
そしてですね、この子どもに関する検査、2巡目に今年入りまして、4年目に入ったということで、事故後、そこで新たに出てきたのは、新たに6歳から17歳の子どもの中で、4人の方にガンの疑い、というのが出てきたんです。
<ナレーション>
福島県の子どもを対象に行われている甲状腺検査。今年(※2014年)4月から、新たな段階を迎えていた。3年かけて福島全域で行っていた検査が一通り終わり、2回目の検査が始まったのだ。
この検査の中で、4人の子どもが「ガンの疑いがある」と診断されていたことが分かった。いずれも1回目の全県調査では異常なしと診断されていた、6歳から17歳の子どもだった。
そもそも福島県は、福島第一原発事故のあと、震災当時18歳以下の子供およそ37万人を対象に、県内を3つに分けて、およそ3年かけ甲状腺検査を行ってきた。
<資料映像> (「県民健康調査」検討委員会・星 北斗 座長)
放射線との影響がどうかってことについては、今後きちんと検証する必要があると思いますが、これまでの知見からいうと「考えにくい」という表現を使っています。
<ナレーション>
1巡目の検査では、今年(※2014年)10月末の時点で、事故当時6歳から18歳以下の子供84人が「甲状腺ガン」と確定している。そして、今年(※2014年)4月からは2巡目の検査が始まった。
県では、1巡目を先行検査と呼び、2巡目を本格検査としている。これには理由がある。1986年4月に爆発したチェルノブイリ原発事故。この周辺で、子供たちの甲状腺ガンが急増したとされるのが、事故の4年後から5年後のことだったからだ。
つまり、原発事故が原因とみられる子どもの甲状腺ガンは、4,5年後に増えていく可能性があるので、それまでに基礎調査として子供にどれだけ甲状腺ガンがあるかを調べる目的が先行調査にはあった。
検査の責任者である福島県立医大の鈴木教授は、本格検査が始まる前、今年(※2014年)2月、こう述べていた。
<資料映像> (「福島県立医科大学」鈴木眞一 教授)
チェルノブイリの事故のデータでも、(事故後)4,5年から急増したということですので、今(先行調査で)出ているものに関しては(放射線が影響した)可能性は非常に低いんじゃないかと…
<ナレーション>
しかし今回、先行検査では「異常なし」と診断されていた、事故当時6歳から17歳の子供4人が、2巡目の本格検査で「がんの疑いがある」と診断された。
甲状腺ガンと原発事故との因果関係については、専門家の間でも非常に意見が分かれている。今回、新たに4人が増えたことについて、2人の方に意見を聞いた。
現在も月に2度ほど福島県で住民の診療などを続ける、東大医科学研究所の上(かみ)氏は、
<資料映像> (「東京大学医科学研究所」上昌広 特任教授)
現状では、まだガンであるかどうかがハッキリしないんですね。何ともいえないと思います。
福島の事故と甲状腺ガンについては、まぁ今後の検証課題なんですね。ですから、医学的な調査がいりますし、さらに不安なお子さんや保護者の方々を対象にしたキッチリしたケアを継続する必要があります。
<ナレーション>
チェルノブイリ事故後、現地で甲状腺ガンの子供たちを診察してきた、菅谷(すげのや)医師は警鐘を鳴らす。
<資料映像> (「チェルノブイリで医療支援」菅谷 昭 医師)
今回1巡目で「異常なし」と言われていますよね。それが出てくるとなると、これ、相当大きな問題になってくるんですよね。
(検査を)待ってる方々が非常に不安になってきますよね。もしですよ、1回目の時にですね、見落としがなければですよ、これはまさに「新たにできた」ということになりますから、こういう短期間に(甲状腺ガンが)出てきたとすればですよね、ある意味ではそれは放射線の影響も否定できないなぁと思いますよ。
<古館キャスター>
まぁ、現実はですね、この事故による、原発事故による放射線と、成長過程にある子供さんの甲状腺ガンの因果関係というものは色んな意見が交錯しています。ハッキリとは「これだ」という正解は行き渡っておりません。
まぁ それだけにですね、いま先生がおっしゃっていたように、1巡目の検査で「異常なし」と出ても、また新たに「ガンの疑い」と出てきたとすればですね、「新たに不安を抱えるという方も出てきて当然だ」という考えに沿えば、ご本人も親御さんのことを考えても、この追跡の検査・調査というものは徹底的にやる。
ゆるめるという意見も出ている部分が一部にあるようですが、これを「徹底的にやっていく」ってことを進めていかないといけないんじゃないかと強く感じるんですが。